読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Anyone to Turn to

岡沢亮 contact: boiledend0320[@]gmail.com http://researchmap.jp/ryookazawa

法と言語研究 とEMCA

研究メモ

"Language-and-Law Scholarship: An Interdisciplinary Conversation and a Post-9/11 Example"
Elizabeth Mertz and Jothie Rajah
Annual Revier of Law and Social Science 2014 10:169–83.

http://www.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev-lawsocsci-102612-133958

法実践における言語使用に着目した諸研究のレビュー。後半部の9/11テロ以降のなんたらの部分はほぼ読んでいないが、とりあえずThe many faces of language-and-law studiesという節は非常にわかりやすく、かつありがたいことに自分の描いていた研究地図とそれほど異なっていなかった。

コンリーとオバールによる法と言語研究に関する教科書的著作であるJust Wordsに触れた後に、法廷の相互行為に関するCA研究にかなり紙幅が割かれ、好意的に言及されていて興味深かった。 法と言語研究は、1.様々な経験的手法を明確に区別せずに、色々混ぜ合わせて使っており(会話分析、社会言語学、ナラティブの分析、意味論、文化人類学パースペクティブなど)、2.法専門家が素人に対してあるいは男性が女性に対して持つ「権力power」や両者の間の不平等に関心がある、という自分がもともと持っていた大雑把な見方で大過なさそうだ。一応このレビューでは、Travers(2006)を参照しながら、CAと「権力」を分析概念とするこれらの研究との折り合いの悪さについても言及している。

 

Understanding Talk in Legal Settings: What Law and Society Studies Can Learn from a Conversation Analyst - Travers - 2006 - Law & Social Inquiry - Wiley Online Library

Traversは、コンリーとオバールのように「権力」や「不平等」を分析概念とし、それらと関連して「ジェンダー」や「階層」などのコンテクストをシンプルに持ち出してくる法と言語研究に対して、シェグロフ参照してレリバンス問題の観点から批判的に検討するわかりやすい構成になっていた。ちなみにMatoesianの著作は、CA側からも、その他の法と言語研究あるいは法人類学研究の側からも評価されているらしい。

 

これらのレビューの見立てに素直に従ってよいなら、本稿の問題関心は〜〜である→実践の参与者にとってのレリバンス問題を十分に考えずに分析を進めるきらいがある法と言語研究は、この問題関心に適合しない→EMCAの立場から法廷での相互行為を分析する、と議論を進めることは割と簡単だろうと思う。

まあそれでもいいが、こういう議論の進め方はEMCA読者にとってはもはや見慣れていて、それほど面白くないのではないかという懸念がある(別に面白くなくてもいいかもしれないが)。これを解決するために、問題関心の重要性についてかなり周到に議論し他領域の先行研究への貢献を明確に打ち出すか、EMCA研究に対しても広い意味で方法論的な貢献を行えるといいと常々思っているが、特に後者については全く道筋が見えてこない。 

 

*追記12/11

Just Words読んでるけど、コンリーとオバールが、ミクロな会話(言語使用)を分析することでマクロな権力や不平等について解明できる、と述べるとき、やはり権力とか不平等といった概念の実践者にとってのレリバンス問題は鑑みられてないように思われる。この見立てが妥当するか読み進めてみよう。

12/12 とりあえず全部さっと読んだ感じ、上の見立ては妥当する。