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岡沢亮 contact: boiledend0320[@]gmail.com http://researchmap.jp/ryookazawa

北田暁大+解体研『社会にとって趣味とは何か』

北田暁大+解体研『社会にとって趣味とは何か——文化社会学の方法規準』が河出書房新社から公刊されました。

目次

はじめに 社会にとって「趣味」とは何か──テイストをめぐる文化社会学の方法規準(北田暁大


第1部 理論篇 テイストの社会学をめぐって
第1章 テイストはなぜ社会学の問題になるのか──ポピュラーカルチャー研究におけるテイスト概念についてのエッセイ(岡澤康浩)
第2章 社会にとって「テイスト」とは何か──ブルデューの遺産をめぐる一考察(北田暁大


第2部 分析篇① 「読む」──テイストはいかに作用する/しないのか
第3章 読者たちの「ディスタンクシオン」──小説を読むこととそれが趣味であることの差異をめぐって(岡澤康浩・團康晃)
第4章 ライトノベルケータイ小説、古典小説を読む若者たち──ジェンダーとオタク/サブカル自認(岡沢亮)
第5章 マンガ読書経験とジェンダー──二つの調査の分析から(團康晃)


第3部 分析篇② 「アイデンティティ」──界を生きる
第6章 「差別化という悪夢」から目ざめることはできるか?(工藤雅人)
第7章 「おたく」の概念分析──雑誌における「おたく」の使用の初期事例に着目して(團康晃)
第8章 動物たちの楽園と妄想の共同体──オタク文化受容様式とジェンダー北田暁大


Invitation 「趣味の/と文化社会学」のためのブックガイド
あとがき 「ふつうの社会学」のために(北田暁大) 

ブルデューの『ディスタンクシオン』などの議論を批判的に引き継ぎながら、一方で単なる個人的な好みであるように思われるが、他方でときに人々を序列化するものでもあるような、独特で厄介な「趣味 taste」のあり方に迫るべく、主に統計的な手法を用いた社会学研究です。

各章は小説・マンガ・ファッション・アニメ・音楽など特定の領域をそれぞれ扱っているので、ご関心のある章から自由な順番で読んでいただいても良いかもしれません。

ちなみに、ずっと英語圏で社会学を学んできた人が近くにいたので、先ほど表紙と目次を見せたところ、「Poeticsでよくありそう」と言っていました。このように、「ふつうの社会学」というピンとこないだろう宣伝文句には、英語圏の文化社会学雑誌(PoeticsCultural Sociology)では決して珍しくない、「趣味 taste」をテーマとする計量的な研究を日本でも進めていこう、という意味合いが込められています(と私は考えています)*1

なお、私は4章「ライトノベルケータイ小説、古典小説を読む若者たち──ジェンダーとオタク/サブカル自認」とブックガイドの「読者・読書研究」の項目を執筆しました。

同章の内容はタイトル通りなので特に説明することはないのですが、若者たちが属するカテゴリーと、読む小説のジャンルとが、どのように関連しているのかを単純に分析したものです。こちらもついでにご笑覧いただければ幸いです。 

*1:ちなみに私見では、これら英語圏の文化社会学雑誌の掲載論文の中には、音楽批評における語彙の用いられ方をコーディングしたり

The evaluation of popular music in the United States, Germany and the Netherlands: a comparison of the use of high art and popular aesthetic criteria

子供向けの絵本にどんな動物がどんな職業で登場しているかを数えたり

What do animals do all day?: The division of labor, class bodies, and totemic thinking in the popular imagination - ScienceDirect

と、計量的な分析の対象となるデータ自体が非常に個性的なものも多く、興味深いです。