Anyone to Turn to

岡沢亮 contact: boiledend0320[@]gmail.com http://researchmap.jp/ryookazawa

論文公刊: 岡沢亮「法廷の相互行為における素人の対抗」『法社会学』84号

新しい論文が公刊されました。

  • 岡沢亮, 2018, 「法廷の相互行為における素人の対抗——ある映画製作者の応答技法について」『法社会学』84: 183-202. [査読あり]

「法の素人はいかにして法専門家に対抗できるのか」という問いに対して、エスノメソドロジー・会話分析の立場から、刑事裁判の公判における検察官と被告人の相互行為を分析することによって、答えようとしたものです。

要約は以下の通りです。

 法廷における法専門家と法の素人の相互行為において、両者の語りの影響力の不均衡があることは、様々な研究において指摘されてきた。しかし、そうしたなかで法の素人がいかにして法専門家に対処し自らにとって有利な決定を獲得できるのかについては、十分な検討がなされてこなかった。

 そこで本稿は、法の素人が法廷の相互行為において用いる、法専門家に対抗し自らの立場を守るための方法の解明を目指す。そのために、作品のわいせつ性が争われ無罪判決が下された愛のコリーダ事件一審判決に至るまでの公判をとりあげ、エスノメソドロジーの立場から裁判官による質問と被告人の応答の連鎖を分析する。

 分析の結果、検察官の質問の不適切性を示すという方法が、素人による法専門家への対抗を可能にすることが明らかになった。分析事例において被告人は、「わかりません」という発話を用いて自らが法の素人であることを呈示しながら、検察官の質問の不適切性を示すことによって、質問に応答しないことを正当化するとともに無罪の主張を行うことが可能になっていた。

私は法社会学に関心を持ち自ら学んできたものの、それに関する専門的なトレーニングを学術機関で受ける機会はなかったので、このように法社会学の専門誌に掲載されたのは良かったかなと思います。